『痛み止め飲んだけど、痛みがとれないんだよねぇ~』
『シップ貼ってるのにぜんぜん良くならないの・・・』
どうして?
これもよく聞かれる質問です。
ということで、今回は 『痛み止めと、シップの効果』 について。
さっそく、今回も結論から。
『痛み止め』 や 『シップ』は、じっとしていてもズキズキする痛みには効きますが、
動いたときにズキッと走る痛みには効きません。
これが、痛み止めやシップが効かないと言われる最大の理由です。
・・・?
今回もなるべく難しくならないように、痛み止めやシップの作用についてお伝えします。
まず初めに、痛み止めは麻酔薬とは違います。これはなんとなくわかりますよね。
麻酔薬は神経の伝達自体を抑制しますが、痛み止めは炎症物質の産生を抑える効果しかないのです。
だから、薬を飲んでも動けば痛みを感じるのです。
もう少し詳しく言うと、痛み止めの成分である
「ロキソニン(ロキソプロフェン)」や「ボルタレン(ジクロフェナック)」、
シップに含まれている
サリチル酸やフェルビナク
などは、すべて炎症物質である
『プロスタグランジン』
という物質を増やさないようにする薬です。
つまり、炎症を抑える役割しかないため、動かしたときに起きる痛みは抑えられないんです。
(正確にはプロスタグランジンを産生する酵素「COX」の阻害剤なのですが・・・)
そもそも、『プロスタグランジン』 という物質は痛み刺激を誘発させる以外にも、
組織に栄養を運ぶために血管を拡張させるなど組織修復に必要な物質ですが、
これが過剰に産生されると必要以上に強い痛みを感じるようになってしまいます。
だから、この過剰に増えたプロスタグランジンの産生を抑えてあげようってのが、痛み止めやシップの主な目的なんです。
(ちなみに薬効成分に違いはありますが、狙っている効果は同じなので、どれを選んでも効果に大差はありません。)
・・・ん?でも、炎症が治まるならいいんじゃないの?
そうです、使い方によっては痛み止めは非常に効果的です。
しかし、すべての痛みを抑えられるわけではないことは覚えておいてください。
そんなに簡単には出来ていないのです。
突然ですが、火にかけた熱々の鍋のフタを触ってしまったことってありませんか?
その時、鋭い痛みが走った後に、じわっと焼けるような痛みが後から襲ってきませんでしたか?
実はこの痛みの感じ方の差には、神経線維の種類が大きくかかわっているのです。
神経繊維は、その大きさからA、B、Cと3つに分かれていて、その伝達速度も特徴もそれぞれ違います。
ちなみに、最初に感じた鋭い痛みの正体は一番太いA繊維の感覚。
そして、後からじわっと痛む感覚は一番細いC繊維による感覚です。
そして、先ほどお話しした炎症物質「プロスタグランジン」は、C繊維に作用して痛みを引き起こしています。
つまり、プロスタグランジンの産生を抑える「痛み止め」や「シップ」は鋭く走るA繊維には直接作用しないということなのです。
ということで、炎症物質「プロスタグランジン」を抑える痛み止めやシップはじっとしていてもズキズキする痛み(C繊維)には効きますが、
動いたときにズキッと走る痛み(A繊維)には効かないのですね。
結局何を伝えたいのかと言うと、痛み止めを飲んだからといって、患部を安静にしなければ痛みは治まらないということ。
ただし、痛み止めやシップも過敏になってズキズキする痛みに対しては効果がありますので、
その点を分かったうえで使い分けましょう。シップと痛み止めの特性、なんとなくわかりましたか?
以上、痛み止めとシップの効果についてでした。