冷やす?温める?

『痛いところは冷やしなさい』 って言われたこと、ありませんか?

でも、温シップっていうのも売っているし・・・
「先生! 私の場合、冷やした方がいいんですか?それとも、温めた方がいいんですか?」

これは患者さんからよく聞かれる質問です。
ですから、今回は 『冷やすの?温めるの?問題』 についてお答えします!

まず結論から申しますと、アイシング(冷やすこと)は、ぶつけた・捻った・伸ばしたなどの 『ケガ』 、
赤く腫れて 『熱を持った』 患部、じっとしていても 『ズキズキする痛み』 に対しては非常に有効です。
また、アイシングは数分間だけ痛みを抑える効果もあります。
しかし、それ以外は基本的に 『温める』 と思って頂ければ間違いありません。

いまいちピンとこないですか?
大丈夫です、これからお話しするアイシングの効果についてお読みいただければ、
どのような時に冷やせばよいのか判断できるようになりますので、ご安心ください。

アイシングの意味、それは・・・
アイシングの一番大きな効果は、神経の興奮(伝達速度)を抑えて一時的に痛みを和らげることなのです。
ここで注意してほしいのが 『一時的に痛みを和らげる』 というところです。

つまり、一時的に痛みが引くというだけで、
組織が治るわけではないということは、覚えておいてください。
これさえ理解していればどのような時にアイシングすべきなのか、おのずと分かってきますよね。
また、アイシングは患部の温度を下げるので、組織の代謝が抑えられます。
だから、ケガの直後や、熱を持っている患部の腫れを沈静化させるには、非常に効果的なんですね。

ただし!組織の代謝が下がるということは、『傷ついた組織の修復』 には悪影響を及ぼしかねません。
だって血行が悪くなるのですから、治そうと頑張っている細胞にとっては栄養分が運ばれ難くなるので、良い環境とはいえないのです。

だから、アイシングはケガの直後・熱を持った腫れ・痛みが過敏になっているときに 『痛みを抑える』 目的で行いましょう!
痛みは和らぎますが、『アイシング = 組織を治す』 ではないことだけは、忘れないでくださいね!
組織を修復させるためには、患部を温めて血行を良くすることがとても大切です。

これを指標に冷やすか、温めるかの判断をすれば大きな間違いは起きませんよ。
患部に直接 氷や保冷材などを当ててアイシングを行うと、皮膚や皮下組織が氷り、『凍傷』 を引き起こす危険があります。
よって、必ずビニール袋などに氷と水を入れて「氷が解ける温度(0℃)」にしてから患部に当ててください。
バケツに氷と水を入れてその中に手や足を突っ込むのも安全な方法です。
必ず氷が解け始める温度(0℃)を意識してくださいね。これで凍傷になる危険を回避できます。

また、アイシングの除痛効果を最大限に発揮させるには、冷たいという感覚がなくなるまで冷やすことです(15分程度)。
そして、感覚がなくなった段階でアイシングをやめます。
再度アイシングを行うタイミングは最初の痛みの感覚が戻ってきたらです。(30分か1時間くらい)
これを数回繰り返すことで痛みが抑えられ、組織の代謝も低くなって腫れが抑えられますよ。